2020年11月1日(日)
今日はゾロ目です。1が3つのゾロ目。
昔から、なぜかゾロ目には反応してしまいますが、なんのことはない、ただの11月1日でした。
11月ともなると朝晩はかなり冷え込みます。今朝も朝一番にベランダへ出て、植えてある花の様子などを見ていましたが、プルっと震えるほど冷えていました。
これからどんどん冬に向かっていくのですね。。。
そんな日曜日ですが、朝から子供達は出かけてしまったため、とても静かな一日でした。
仕事がお休みの夫は居ましたが、先だっての喧嘩で未だ私の機嫌が直らないとでも思っているのか、触らぬ神に祟りなしと、大人しくなにかしていたようです。
時折出かけては、また戻り、少しするとまた出ていくという、まるで働き蟻か蜜蜂のような行動をとっていましたが、なにかを持ち帰って来るわけではありません。
さて、そんな静かな一日でしたが、私は探し物をしていました。
数年前に読んだある本が、どうしても読み返したくなったのです。
題名も作者も思い出せないのですが、これはある意味で特別な一冊になり得ると当時は危険視していた本でもあります。
「この本は読む時を選ばなければいけない。。。」
そう思って、いつでも手に取れる本棚には収めず、どこかへしまっておいたのです。
作者は多分20代、同性愛者の男の子で、日々の出来事や心の動きを淡々と綴ってある日記のような文庫本でした。
内容は特に感銘を受けるようなものではなかったのですが、その方の書く文章、また言葉の選び方などがものすごく好きで、当時他の著書を探したりしたのですが、マイナーなのか、見つかりませんでした。
マイノリティーゆえの感受性の豊かさか、その視点はどこかいつも違うところに注がれているのに加え、感性を言葉に置き換える能力に優れた、「これは参りました!」というくらい、感動した本でもあったのです。
ただ、ちょっと毒があるというのか、あまりに発せられる言葉が魅力的過ぎて、その感情に自分を持っていかれるかもといった危うさも同時に感じたのでした。
そんな感じの本だったので、何年も忘れて過ごしていたのですが、最近になって時折思い出すことがあり、またあの世界に触れるべき時がきたか?
そう思ったわけなのです。
ところが、どこを探しても本は出てきません。。。
しょっちゅう断捨離などをしているので、間違って捨てた?
いや、本だけは注意して選別するようにしているので、それはありません。
結構長い間、思い当たるところを探しましたが、結局は見つけることはできませんでした。
いま読むべきではないから、姿を現さなかった。。。
そう思って探すのをやめました。
ポジティブです!
子供の頃、父親の本棚にあった『マーフィーの黄金律』をこっそり読んで以来、私にはなんでも都合よく解釈するという術が身についてしまいました。
子供だったせいでしょう、本の内容を正確には理解していなかったはずです。
それはゴールデンルールからは少し外れた、エクスキューズルールというものに、自動変換されてしまったようです。。。
しかし、それは後々私の人生に多大なる影響を与えました。
このご都合主義は私の核となり、人生のどの岐路においても、ひょっこりと顔を出しては、反省とは別の道へと誘うのでした。
本とはすごいものです。
ただの紙の束ではなく、時に人の人生を変えてしまうほどの力も持っています。
「この本を読んで人生が変わった」
そう自覚している人も多いでしょう。
私も知らず知らずのうちに、紙の束にその後の人生を変えられてしまったのかも知れません。
あの幼かった日、もしマーフィー博士の言葉に出会いさえしなければ、私はもっと思慮深く生きてくることができたことでしょう。。。
「本は旬の物」といいます。
タイムリーに読まなければ、鮮度は落ちると。。。
確かに大方の本はそうでしょうが、実は「いつ読むか?」そのタイミングは人それぞれではないかなとも思います。
縁が結ばれた時に読む。
人と人との関係同様に、物との出会いもまた然り。
人生を変えるほどの出会いなら、なおさらそんなものなのかも知れません。。。
つまりは、私とマーフィー博士との出会いもまた、そうしたご縁によって結ばれたものだったということなのでしょう。
巷には読みきれないほどの書物が溢れていますが、その中で自分の人生を変えてしまうほどの本と、あとどれだけ出会えるでしょうか。。。
あわよくば、これまでの人生を大きく軌道修正するきっかけとなるくらいインパクトの強い本に出会えたら。。。
そんなことを考えていると、本を読む楽しさも倍増してくるのでした。。。
ちなみに今日は、エッセイストの木村治美さんの生まれた日です。
この方のエッセイは過去に2冊だけ読んだことがあります。
1980年代の終わりごろ、私がイギリスへ渡ろうかと考え始めた時に、リサーチとしてこの方のエッセイを手に取ったのでした。
『黄昏のロンドンから』
『静かに流れよテムズ川』
この2冊は、当時私にとってはガイドブックのような役割を果たしてくれました。
まだ今のようにインターネットの普及していない時代です。旅や留学などの情報収集は、関連機関へ赴くか、市販されている書物くらいのものでした。
実際にそこへ行き、暮らしたことのある人が綴った日常は、その街での生活を知る上で当時はとても参考になりましたし、自身のモチベーションアップにも役立ちました。
近年、あまり名前を聞くこともなくなりましたが、88歳の高齢ともなれば、のんびりと余生を過ごしているのかもしれません。
いずれにしても、今よりもずっとハードルの高かったあの時代の海外での暮らしに、この方の著書が一つの道標となったことを感謝したいと思います。。。