2020年11月30日(月)
今日で11月も終わりです。いよいよ今年も師走を残すのみとなりましたが、特に何をするでもなく、いつもと同じように過ごしています。
月末のせいで銀行がとんでもなく混んでいたとか、コロナ感染者急増なのに、近くのカフェはぎっしりと人が埋まっているとか、「コロナ、コロナ」とニュースで騒いでいるけれど、それはどこの話なのだろう?と、リアルとの大きな温度差を感じます。。。
しかし、お天気がよかったせいか、外を歩いていても気持ちの良い日でした。
これは週末から解放された月曜日という日だから、余計にそう感じるのかも知れません。
しかし、そんな穏やかで気持ちのよい時間も、夜ごはんの時間になった途端、いきなり取り上げられてしまったのでした。。。
今夜の晩御飯はメキシカンでした。
こう言うと、なんだかたいそうなものが食卓に並んでいそうな雰囲気ですが、ただの「タコス」です。
これは手巻き寿司のように、具材さえテーブルに並べておけば、各々がトルティーヤと呼ばれるトウモロコシの粉でできた皮に、好きな具材を好きなだけ入れて巻いて食べる、洋風手巻き寿司のようなもの。
つまり、主婦にとっては手抜き料理のカテゴリーに分類される、超楽々メニューなのです。
ちなみに、トルティーヤの皮を米に変えれば、ほぼタコライスに変身するという、優れた料理でもあります。
ゆったりモードにふさわしいタコスですが、これが問題なのです!
問題はタコスというよりも、正確に言えばそれが食卓に並んだ時、夫が決まって大音量で陽気なメキシコの音楽を流し始めることにあります。
静かだった部屋の中が、いきなり陽気なラテンの音楽に包囲され、まるでメキシカンレストランのようです。
リビングに飾ってある、丸めた一万円札を忍者の刀のように背負った「エケコ人形」も、心なしが喜んでいるように見えるのは気のせいでしょうか。
しかし、喜んでいるのは夫とエケコだけです。
私や子供達は、そのあまりの陽気さに同調することができず、妙な居心地の悪さを覚えるのです。。。
「あのね、ここはレストランじゃないんだから、静かに食べましょうよ」
何度もそう諭してはみましたが、一向に聞き入れてはくれません。
「いいじゃん!家でメキシカンなんて最高!週一くらいで食べたいくらいだ!」
メキシコ人でもないくせに、メキシコの国民食を週一で気軽に食べようだなど、勘違いも甚だしいではありませんか!
しかも、このコロナ禍にわざわざコロナビールまで買いに走り、タコスを前にコロナビールをあおり、ノリノリでタコスに食らいつく夫。。。
仲間と集まってワイワイやるのならともかく(コロナ禍のいまはダメですが)、家庭の食卓です。
静かに家族団欒、会話を楽しみながら食事をしたいのに、脳天が焼き尽くされるかと思うほどの陽気な音楽に、脳内はカラフルポンチョのごとき混沌。
もはや正常には機能しなくなるのです。
黙々とトルティーヤを頬張り、一刻も早くこのダイニングから逃げ出さねば!と、私と子供達は必死です。
まるで恵方巻きでも食べているように、無言で丸い筒状のタコスを胃袋に落としていくことのみに集中します。
不思議なのは他の国の料理では、この現象が起きないことです。
私はエスニックが好きなので、インド料理(主にカレー&ナン)やタイ料理も作ります。
もちろん、パスタなどイタリアンや、簡単なフレンチっぽい料理も作ったりします。
同じ手抜き料理の一つとして、ドイツのカルテスエッセンと言われる、パンとコールドミートのみのときだってあります。
それなのに、いきなりバイエルンな音楽が流れたり、インドやタイの音楽が流れることはありません。
なぜか、メキシカンだけなのです。
もしかしたら相性の問題なのかもしれません。
脳天気な夫の脳内にあの陽気なメキシカンがシンクロしちゃうのでは?
音楽の好みとは人それぞれです。好きな人にとって、それは活力になったり癒しになったりと、大きな力を持つのが音楽です。
しかし、聴きたくない音楽を無理やり大音量で聴かされ続ければ、それは音害と言えるものにもなります。
夫の趣味を否定するつもりはありませんが、タコスだからってメキシカンを聴かねばならない理由もありません。
これは目には眼を!で、和食を作って民謡でも流し、この気持ちを理解してもらうしかないかもしれない。。。
そう思いつつ、メキシカンだろうが民謡だろうが、結局は同じ。
私はただ静かに食事がしたいだけなのです。
他人同士が一つ屋根の下で暮らすのも、時としてつらいもの。
自分の好みばかり押し付けるわけにはいきません。かと言って、相手のやりたい放題を黙認し続けるのもまた違う気がします。
これからもずっと、タコスを食べるたびにメキシカンを聴かねばならぬのなら、いっそのことタコスはもうやめようか。。。
手抜き料理のレパートリーが一つ減るのも哀しいけれど、何かを得ようと思ったら、それ相応のものを差し出さねばならぬもの。。。
そんなことで頭を悩ませた週の始まりなのでした。
ちなみに今日は、イギリスの映画監督であるリドリー・スコットさんの生まれた日です。
私のようなアラフィフ年代にとっては、『エイリアン』『ブレードランナー』そして『ブラックレイン』などを世に送り出した方として知られています。
我が家の夫なども大好きで、未だにそれらの映画について熱く語っているほど。
私もこうした代表作は観ましたが、やはりこの手のSFなストーリーや、あのちょっと暗めのトーンは男性向きな気がします。
とはいえ、彼のクリエイトする映像美は、目が離せないほど美しかったりすることもあり、さすが美大卒の監督、絵コンテなども自身で描き、それがまたすっごいレベルだといいます。
確かに『ブレードランナー』などは、いま観ても全然古さを感じません。
もう82歳。最近はあまりお名前を聞くこともないなと思っていましたが、まだまだ現役のようです。
すごい82歳です。。。